FREESTYLEⅡ8/3観覧思い出ニッキ(そのいち)

何せ老朽化の激しい年代物。 年々記憶する容量が少なくなってきているワタクシの脳内HDD。
智さんの個展を観に行ってから早2週間を過ぎ、細かい部分が怪しくなってきているような気がする今日この頃。
美術展にメモ書きや筆記用具を持ち込むという発想は無かったので、全てふたつの目に焼き付けてきた…つもり^^;(見落としはいっぱいあるかも)
なので、技術的な細かいことは書き残せないので、観て感じたこと、あくまで私の主観である感想を思い出として書いておこうと思います。 以下ネタバレあります。



入口でスタッフさんにチケット確認を受けてから入場。 入って右手側に写真のパネル、左手側に智さんからのメッセージボードがありました。 
写真は前回のフリスタで展示されたヘッドフィギュアを使ったもので、5体のフィギュアがデジコンの特効をバックに写っているものや、ハワイの海岸で空を見上げる大宮フィギュアだったり、中でも思わず笑っちゃったのが、女性のヘッドフィギュアを海岸の砂に埋め、顔の表面だけを出して天を仰いでいる、作品集のP068に掲載されたあの作品ね^^ 茶色い砂地とフィギュアの肌が同化して、でも真っ赤な唇だけが強烈に色を放っていて、智さんらしいシュールな発想だなぁって思っちゃったよ。 この写真を撮った後、画像を確認して笑ってる智さんの表情まで浮かんでくるようだった^^
あと、同じ海岸だと思われる砂浜に、智さんが描いたFSⅡのでっかい文字。 智さんが作品を創り上げることにより、必然的ともいえる長期スパンで着々と進められていたFREESTYLEⅡのプロジェクトに、心があったかくなったところで智さんからのメッセージを読む。 今度は目尻があったかくなってきて、何かが滲んだ気がしたよ。 そのメッセージに添えられるようにして書かれた智さんのサイン。 お若いお嬢さんがそのサインに触れて撫でたんだよね。 触れたのはその子だけで、気持ちはわかるんだけどやっぱそこは触っちゃダメだよね。

サイトウくんのフィギュアコーナー。 早速ここで大渋滞。 先に他を回ろうか悩んだ末に、やっぱりまずは智さんが(スタッフさんと共に)考えた導線の順で観てみようと思いしばらく待ってみる。
ようやく順番が回って来て最初に観たのが、確かシルクハットにもじゃもじゃヘアーのサイトウくんだったような記憶。 とにかくそのひとつ目のフィギュアに速攻で心を持って行かれ、そこから中々前へと進めない。←(ある意味迷惑)あぁキレイだなぁって思ったの。
サイトウくんのフィギュアに施した色彩というかメイクや装飾品が、またひとつひとつ繊細でね。 前回の作品の時も思ったけれど、装飾品のデザインが100%智さんなら、奈良さんが言うように智さんは帽子のデザイナーにもなれるよね。
カッパのサイトウくんがすごかった。 目の周りを縁取る無数のプチプチが、人間ではない別の生き物の皮膚感のようなものを、リアルに現わしてる感じがしてすっごく気持ち悪かった^^; あと顔と頭部にドットが散りばめられたサイトウくんもね。 まるでコップの淵にびっしりついた水滴みたいで、それがとっても美しくて、これもまたいい意味で気持ち悪かった。 とにかくあの独特の造形を持つサイトウくんが、本当にどれもみな美しかったの。
そしてそれらのベースとなるシンプルなまんまのサイトウくんもちゃんと居た。 この原形となるサイトウくんに、どうデコレーションしていこうかワクワクしながらアイデアを練る智さんを想像してしまいました。

次に和室の間。 オープン前に奈良さんがネタバレしていたのはこれなのね^^
入ってすぐの左側に、数年前からのウワサのちょんまげふんどし姿の男の子の掛け軸がかけられてあった。
すごく至近距離で観ることができるから、息をひそめるようにして鑑賞しました。 水墨画の繊細な濃淡のなか、よくよく見ると男の子の鬢の部分の漆黒のその下に、赤い点々とした色が見える。 他にも色が隠されていたけれどどんな色だったか詳しくは忘れてしまいました。
何より絶句したといっても過言でないのは、この水墨画の裏側の超絶技巧の細密画。
何千個、もしくは万?のドット。の中のドット達。
ひとつひとつ色を塗り重ねていて何という凄まじい労力。 
そのドットの色がひとつひとつキレイに盛り上がっていて、何を使って色を重ねてるんだろうと思って観ていたんだけど、ホテルに帰って作品集を読んでみて、普通に絵の具を筆に大量に付けて置いて行ったと知り、単純なのに精密、繊細、そして想像を超える集中力のもとに行われた、気の遠くなりそうな作業に感嘆のため息しか出てきませんでした。 これらの労力が全て、あの嵐の過密スケジュールと並行して行われていたことが、もはや奇跡とすら思ってしまう。
あと、茶の間があってちゃぶ台があって、テレビがあってシンプルな絵が置かれてあった。 ちゃぶ台のまわりは大勢の人だかりだったので、何があるのか全くわからず。 途中、ザーっと音がしてVTRが流れだし、そこにいた全員がそちらに集中。 私も途中まで見ていたけれど、多分これ時間を置いて何度も流れるだろうと思い、今のうちに襖にプリントされた新しい細密画とタツノオトシゴをじっくりと観ていきました。
智さん独特のストレンジな世界というか、怪物くんがいたり奈良さんの描く少女がいたり、おのずと智さんに強い影響を与えた師匠たちへのリスペクトを垣間見たような気がしたよ。 その中心のSATOSHIの文字の上に描かれた赤ちゃんの寝顔は、智さんの新生児の時の写真の顔だよね。 なんて見れば見るほどいろんな発見のある細密画でした。
あ、VTRもあとでちゃんと観たよ^^ サイトウくん、糸で引っ張ってるんだね^^ その糸が丸見えで、そこも含めて智さんらしいなぁとほっこりした気分になりました。
あとちゃぶ台の上の細密画は、やっぱりよく見えなかったなぁ^^;

思いのほか長くなりそうなので一旦ここでアップ。